新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が社会生活に甚大な影響を及ぼしている。
その影響は都会だけでなく、八ヶ岳南麓という人口密度がかなり低い田舎にも及んでいて、同所に位置する私の職場では、オフィスを閉鎖して、職員各自が自宅で仕事をする「在宅勤務」が始まった。
おそらく全国的にも、いま「在宅勤務」が急増していると思う。
そして、多くの人が勤務形態の変更で「仕事がうまく進まない」という戸惑いを感じているのではと思う。
そこで、この勤務形態をちゃんと機能させるために必要なことは何かを、実際の私の体験を踏まえて考えてみた。
在宅勤務を機能させるために考慮すべき2つの要素
この働き方を機能させるためには次の二つの要素を考慮する必要があると思う。
①組織として、どのように仕事を進めるか
②個人として、どのように仕事への集中力を高めるか
①は、例えば、仕事の性質(自宅で進められる仕事なのか否かなど)や勤怠管理の方法、社員の評価基準、チームの情報共有の仕方などといった要素である。
もし仕事の性質が、重要な顧客データを限られたネットワークの中で処理しなくてはいけないようなものなら、そもそも在宅で処理するのは難しかったりする。こういった場合は、在宅でも処理できるようなシステムにするか、その部分についてはオフィスに出社して処理するかなどを、組織として考えて社員に示す必要がある。これが出来てないと、個人では判断できないことだらけで、社員は困惑することになる。
この①は基本的には組織として考えるべきことであって、一般社員レベルの個人がすぐにどうこうすることは難しい場合が多い。(ただし、一般社員であっても良い方法があれば積極的に提案することは、もちろん素晴らしいことだ)
そこで今回は①には深入りせず、②を中心に考えてみようと思う。
在宅勤務で集中できない原因は何か?
オフィスでは集中できるのに、自宅では集中力が続かないのはどうしてだろうか。
人によっても色々違いはあると思うが、私は次の二つが主な原因になっていると考える。
①場が整っていないこと
②他者からの強制力がないこと
当然のことだが、オフィスは仕事をするのに最適化された(少なくともそうしようとしている)環境である。
デスクや椅子などの什器、パソコン、印刷機などが揃っている、というだけではない。より重要なのは、私たちを誘惑するものが基本的に置かれていないということ。王様のブランチをみたくてもテレビはないし、スラムダンクもないし、司馬遼太郎や池波正太郎の小説(あ、私の趣味です)もない。つまり仕事をする以外にほとんど選択肢がないのである。この「場の力」が、私たちの仕事への集中力を高めてくれる。
さらにオフィスであれば、たとえ司馬遼太郎の小説(の中でも特に私が好きな『竜馬がゆく』)をこっそり持ち込んだとしても、上司や同僚の目は、私が享楽へ陥ることを許してはくれない。つまり他者からの強制力が、いやおうなく私を仕事に向かせてくれるのである。
一方の自宅では、自分を誘惑するものが目の前にあり、自分を律してくれる他者の目もない。頼れるのは、おのれの自己管理能力だけである。
いかにして在宅でも集中するか
では、どうしたら仕事に集中することが出来るだろうか。
複数の書籍からの情報と、私自身の経験から以下の3つのアクションをオススメしたい。私はこの方法で今のところ仕事に集中して取り組むことができている。
①仕事向けの場を作る。
②いつものルーチンを行う。
③眠気とは戦わない。
①仕事向けの場を作る。
仕事向けの場とは、仕事に関すること以外のものが可能な限り排除された場である。また仕事をするにふさわしいデスクなどを備えた場である。
まずは自分を誘惑するもの(特に『竜馬がゆく』など)を排除する。排除の方法は簡単で、自分の目に入らないようにすれば良い。誘惑物たちは視界に入るだけで集中力を削いでいく。「汝らに見ゆという罪残れり」である(?)。
書籍などであればダンボールにまとめて倉庫にぶち込んでおく。デスクは毎日一度、ものをゼロにして、台拭きで拭きあげてから、今日の仕事に必要なものだけを配置して、仕事を開始する。
これだけでもかなり集中できるようになる。
しかし、そもそも次のような設備では集中することは難しい。
60インチの大型テレビの前に、座りごごち抜群のソファが置かれ、テレビとソファの間にローテーブルが置いてある。
このような部屋は、「ソファでくつろぎながら、ドラマや映画を楽しむ」目的の部屋であり、仕事をする部屋ではない。ちゃんとした仕事用・勉強用のデスクを購入しよう。
なかでも私のオススメは、スタンディングデスクである。立っているときは、座っているときよりも集中力や認知機能が向上するし、座りっぱなしによる健康への弊害も避けることができる。私は立ちながら仕事をすることで、自分としては集中力の向上を体感している(ただ、もともと持っていたデスクを大切にしたかったので、デスクの上をかさ上げするアイテムを活用している)。なお立ちっぱなしも、それはそれで疲れるので、1時間スタンディングで仕事をしたら、10分程度座って仕事、というのを繰り返している。
オフィスでの仕事が再開したら、オフィスにもスタンディングデスクを導入を提案したいくらいである。ほんとに。
②いつものルーチンを行う
家ではダラけやすい。これは会社にいくときにいつも行うルーチンを意識的に続けることで、かなりの程度回避することができる。
例えば、就寝起床の時間を変えない。男性ならきちんとヒゲを剃り、女性ならきちんとお化粧をする。ワイシャツとスラックス(スカート)を着用する、などである。
特に就寝起床の時間は重要で、遅寝遅起きになると、朝のスタートがグダグダになって自己嫌悪感も伴って、一日中モヤモヤすることになる。
私の場合は、朝起きたら、まず顔を洗い、一杯の水を飲み、15分ほどエアロバイクに乗り、熱いシャワーを浴びて、髭剃りと髪を整えてシャツとスラックスに着替え、瞑想をして、書籍の音読をする。これが毎朝のルーチンである。ルーチンを変わらずに続けることで、自分を集中状態へ持って行きやすくなる。
まずは一つでも良いので、仕事モードに入るためのルーチンを実践してみてはいかがだろう。
③眠気とは戦わない
緊張感が少ない分、オフィスで仕事をするとき以上に、在宅勤務では「眠気」が強烈な敵となる。みなさんはそんなときどうしているだろうか。
カフェインを摂取したり、自分に気合いを入れたりして、眠気と格闘していないだろうか。
私のオススメは、眠気とは戦わず、さっさと寝ることである。
前提として、夜間に自分に適当な睡眠時間を確保する。3、4時間の睡眠でも十分なショートスリーパーの人はごく稀にいるが、ほとんどの人は6〜9時間程度の睡眠を必要とするバリュアブルスリーパーらしい。ちなみに私は毎日7時間半は寝るようにしている。
ちゃんと夜間に睡眠をとっても、昼食を食べたあとは少しばかり眠くなることがある(GI値を考慮した食事を摂ればほとんど眠くなることはないが、それはまた別稿にて)。そんなときは、15分ほど昼寝をする。眠気と戦ってる時間は、集中もできてないし無駄な時間である。さっさと寝よう。目がさめると、集中力が回復していることに驚くと思う。ちなみに30分以上寝ると逆に体がだるくなるのでご注意を。
あ、ここまで筆を進めてきて、かなり重要なことを思い出した。これに悩んでいる人も多いかもしれないから念のため書いておきたい。
自宅に子供がいる場合に、いかに集中するか
通常の在宅勤務ではどういう状況になるか分からないが、今回のコロナウイルス感染症などの影響で在宅勤務となっている家庭では、子供たちも学校や保育園に行けずに自宅にいる場合が多いかもしれない。実際に我が家でも、保育園への登園を自粛しているために、1歳9カ月になる娘が自宅に一日中いる。
幼児や、小学校低学年くらいの子供は元気いっぱい遊びたい盛りである。このような子供と一緒に自宅で過ごしながら仕事に集中するのは困難を極める。きゃっきゃと騒ぐくらいなら耳栓でもして防げていても、足元でスラックスを引っ張られたり、ちょっと危ない高いところに登ろうとしたら、何かと対応せざるを得ない。子供は自由に安全に遊ばせてやりたい。しかし仕事は進めなくてはならない。こういった状況に強いフラストレーションを感じて、子供を虐待してしまう親もいるとニュースで散見する。
一体どうすれば良いのだろうか。
私としては、子供を変える(何かを強制する)のではなく、自分自身の工夫によって乗り切りたい。もちろん完璧ではないが、現時点での私の最適解は、「子供が寝ている時間に重い仕事を片付ける」である。単純で申し訳ないが効果は抜群である。寝てる時間は、子供は走り回ったりしないし、ひざにくっついてくることもない。その間に、細切れの時間では出来ない重要な仕事に集中するのである。
ではどうやってその時間を作り出すのか。
夜に子供が寝てから仕事をするのでも良いが、夜になったら自分も疲れている。だから早起きするのである。
私の場合は次のように毎日の集中時間を捻出している。娘と一緒に18時頃に風呂に入る(このとき湯船に浸かるようにする)。すると90分ほどで、体の深部体温が低下してきて眠くなってくる。20時前くらいに娘を寝かしつける、と同時に自分も寝る。翌朝、自分は3時半頃に起床する(7時間半寝ている)。そのあと、前述したルーチンを行い、4時半くらいから仕事を始める。最近、娘は朝6時半くらいに起床するので、およそ2時間は濃厚な集中時間を確保できるというわけである。
娘の起床後は、妻(私と同じように在宅勤務)と午前午後に担当を分けて、娘を見ながら仕事をする。
就寝起床の時間を早めることは最初はなかなか難しいが、得られるものは大きい。朝イチで集中時間を確保できているから心に余裕が生まれる。仕事と子供の板挟みで悩んでおられる方にはぜひともオススメしたい。
久しぶりにブログを書いたら、随分長くなってしまった。最後までお読みいただきありがとうございました。一つでもご参考になることがありましたら幸いです。

